抜歯をする際には抜歯が難しくなる様々な問題に直面する事があります。
その中に骨の挫滅があります。
骨の挫滅って?
骨の挫滅は抜歯をする際に力をかける事で
骨、特に骨髄部分の硬さが失われて弾力が失われる状態になる事です。
実際の状態は骨、特に骨髄がダメージを受けて損傷を受けた状態ですが、
抜歯において挫滅が起きるとうまく抜歯をするための力がかからなくなる事があります。
通常、挫滅は抜歯を
梃子(エレベーター、ヘーベル)で使った場合に起きる事がありますが、
特に骨が硬すぎたり、逆に柔らかすぎる場合に起きる事があります。
ヘーベルによる抜歯の作用はクサビとテコの作用によって
骨を支点の一部として歯に抜歯の力をかけるのですが、
この際に支点となった骨の部位に力がかかり挫滅が起きる事があります。
骨が硬すぎる場合は
力を強くかけないと抜歯ができないため、
かかった強い力が骨の構造を壊した場合に挫滅が起きる事があります。
骨が柔らかすぎる場合は
力自体はそれほどかかっていないものの、
支点として力がかかった部分の骨が簡単に構造を壊してしまう場合に起きる事があります。
挫滅が起きた場合の抜歯の問題
挫滅が起きた場合はその部位にうまく力が伝達しなくなくなる
という点に抜歯の手技上の問題が発生する事があります。
特にヘーベルにおいて挫滅が起きると
ヘーベルの力がうまく歯に伝わらずに骨の中で空回りするような
手ごたえのない状態になります。
このような状態になるとヘーベルの力が一向に歯にかからずに
抜歯がすすまないという事になります。
この際には
ヘーベルの大きさを大きくして力が伝達するようにするか
もしくは、
ヘーベルをかける位置を変えるか
が必要になります。
一般的に挫滅した部位はさらに挫滅しやすいという傾向があるので
ヘーベルの大きさを大きくするだけでは挫滅している範囲をいたずらに広げるだけの事もあるため、
ヘーベルのかける位置を変えるという事が行われたりします。
骨が挫滅する場合はその感触が比較的分かりやすく、
骨の挫滅を感じ始めたらそれ以上挫滅が起きる前に一旦その部位での抜歯を止めて
ヘーベルを別の部位にかけなおす事が多いです。
実際に挫滅が起きる前に
レントゲン上から抜歯の最中に骨の挫滅が起きやすそうかという事が予想される場合もあります。
その際にはヘーベルをかける力を慎重に強めていって
挫滅が起きないように注意して抜歯する事もあります。
骨の挫滅自体は骨の構造の崩壊によるダメージなので
抜歯の手技と抜歯後のダメージの回復といった点から
骨の挫滅はない方が好ましいという部分はありますが、
抜歯がしにくい場合に歯と骨の空間(歯根膜腔)を広げるという意味で
わざと挫滅させながら歯根膜腔を広げていって抜歯できるようにするといった手技を取る事もあります。
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