虫歯などで歯の頭である歯冠が崩壊したりして感染源になっている場合に
抜歯を選択する事がありますが、
歯を抜かない事によるメリットというのも存在します。
歯を抜かない事によるメリット
感染源を取り除くという意味で抜歯を行う場合
その歯によってふたたび感染が起きてこないというメリットがありますが、
一方で抜歯を選択しなかった場合にもメリットは存在します。
感染原となっている歯があるものの、
その歯の感染がある程度コントロールできている場合に例え歯の冠を作れないくらい崩壊していても
歯を残す場合があります。
その際には歯の中に再び感染が起きないように根面板といった蓋をする事がありますが、
この根面板自体には物を噛む能力はありません
しかし、歯の根だけでも残す事で歯槽骨の吸収が穏やかになるというメリットもあります。
骨は通常歯が噛み合う力を受ける事で骨の吸収が抑えられていますが、
歯が失われる事によってその刺激がなくなり骨の吸収がすすむ事があります。
そういった際に歯の根だけでも残しておくとその根を通じていくらかの刺激が加わって歯槽骨の吸収が穏やかになる事があるのです。
歯の根を残す事で逆に骨の吸収が強くすすむ事がある
一方で歯の根を残す事で逆に歯槽骨の吸収が強く進んでしまう事もあります。
その状態とは感染がコントロールできておらず歯根を残す事で炎症が持続している場合です。
炎症が持続する事によって破骨細胞が活性化されて骨の吸収がすすみ
歯根の周りがどんどん溶けていく状態です。
歯根からの刺激を受けて歯槽骨の吸収がおだやかになるという状態は
あくまでも感染がコントロールされていて炎症が起きていない状態に限っており、
歯根が原因となって炎症が起きている場合はデメリットが多くなってしまいます。
つまり、歯根から受ける刺激による骨の吸収抑制よりも炎症による骨の吸収が上回ってしまい
歯根を残した事によって歯槽骨が吸収をつづけてしまうといった状態です。
歯根を残す場合には適応を考えて
そのような事情から単純に歯根を残す事自体が良いというわけではなく
逆に感染原となる歯根を早めに除去した方が歯槽骨の不必要な吸収を抑えられる事もあるのです。
歯根を残すかどうかはそれぞれの感染の状態にもよりますが、
やはり患者さんの希望という点も大きくなります。
そのため、歯根を残した場合にどのようなメリットやデメリットがあるかを確認した上でどのような処置を取っていくのかを決める事が大切となります。
池下の阿部歯科では院長と副院長共に感染や炎症について知見も深く、口腔外科での経験も長いため親知らずなどでお悩みの場合はぜひご来院ください。