親知らずが腫れて痛いという主訴で来院される患者さんは多くいます。
腫れが痛いということで当日の抜歯を希望される患者さんもいますが、
当日に抜歯を行うと逆に炎症が強くなってしまうという問題があります。
腫れた親知らずはいつ抜くのか
親知らずが強く腫れている場合には、当日に抜歯をすることはほとんどありません。
腫れの周りに強い膿を作っている場合は切開をして排膿をしますが、抜歯自体は当日には行いません。
切開排膿をする目的は、
膿を出すと共に空気を嫌う嫌気性の細菌の生育環境を変えるためです。
空気を嫌う細菌が繁殖している部位では空気がない嫌気性の環境となっていますが、
これを空気にさらすことで嫌気性の細菌が増えにくいようにするのです 。
そのため、親知らずが腫れて膿を作っている時には、
炎症が強い状態でも切開をして排膿するという事が大切となります。
一方で親知らずを抜歯する事自体は炎症を強くするため、
親知らずの周りが腫れて膿を作っている状態では抜歯は行う事はほとんどありません。
腫れている最中に親知らずを抜いたら
それでも、親知らずが腫れている状態で抜歯を行うと炎症が急激に強くなる事があります。
抜歯に伴う傷口が大きくできる事で
逆に炎症が広がり唾を飲み込みにくくなったり、
口を開けにくくなったりといった問題が出てくる事があります。
切開排膿を行う事と親知らずを抜くという事は同じように傷口ができるといっても、
目的自体が大きく違っており、その結果にも違いが出ます。
切開排膿を行う事自体は炎症を結果的に弱める効果がありますが、
炎症が強い状態で親知らずを抜くという事は逆に炎症を強めてしまうのです。
親知らずを抜く一番の目的は、
親知らずの周りに感染が起きにくいようにするという事なので、
今現在強く出ている炎症をおさめるという事自体は抗生物質の投与などで行います。
その上で、炎症がある程度落ち着いてきた段階で親知らずの抜歯を行うことになります。
炎症が治まった後の抜歯のタイミング
急性の炎症が治まってきて、ある程度腫れと痛みが軽快した段階で抜歯を計画していきます。
急性の炎症が起きたということは、
時間が経てばまた炎症が強くなる可能性があるので、
切開排膿や抗生物質の投与によって消炎処置が完了した後には
ある程度早めに親知らずの抜歯を計画していく事も大切となります。
炎症が治まったことで抜歯をしばらく延期することもありますが、
特別な理由がない場合には今後再び炎症が強くなるリスクを避けるために
しっかり今後の治療計画を決定していくことも大切となります。
池下の阿部歯科では親知らずの相談で多くの患者さんが来院されていますが、
腫れが強くなっている段階ではまずは痛みと炎症を抑えて、その上で必要性に応じて抜歯を計画しています。