親知らずの退化傾向は上顎にも下顎にも見られますが
上顎の親知らずの方が顕著に退化傾向が認められる事がしばしばあります。
しかし、
下顎の親知らずにおいても退化傾向はみられ、
その傾向は人種間でも様々です。
親知らずの退化傾向
下顎の親知らずは第一大臼歯、第二大臼歯が退化形を示したものですが、
下顎の大臼歯は典型的には5咬頭(歯の噛む面の山が5つ)になります。
退化傾向を示すごとにこの咬頭の数が減り、
5咬頭から4咬頭へとその数を減らします。
しかし、下の親知らずは時としてその退化形として逆にその大きさが大きくなる
巨大歯の形態異常を取る事もあります。
下顎大臼歯の咬頭の数は通常では5咬頭ですが、
時として6つめの咬頭を作り6咬頭となる事もあります。
この6咬頭が出現する頻度は日本人では
第一大臼歯がおおよそ17%
第二大臼歯がおおよそ17%
第三大臼歯(親知らず)がおおよそ20%
と退化傾向を取る親知らずにおいて逆に咬頭の数が増える事があります。
この事も巨大な歯の形を取る巨大歯が退化傾向を示す1形態であるという事が分かります。
人種によって違う親知らずの咬頭数の傾向
親知らずの退化傾向は人種によって差が大きいという特徴があります。
日本人では
4咬頭がおおよそ5割
5咬頭がおおよそ5割
と半々を示していますが、
白人では
4咬頭がおおよそ6割
5咬頭がおおよそ4割
黒人では
4咬頭がおおよそ2割
5咬頭がおおよそ8割
中国人では
4咬頭がおおよそ5割
5咬頭がおおよそ5割
と日本人と似ており
原住民では
4咬頭がおおよそ1割
5咬頭がおおよそ9割
と咬頭の数が多い方が原始形を表す傾向にあります。
しかし、
6咬頭の形態異常の傾向を見ても
退化傾向を示す下顎の親知らずにおいて逆に咬頭の数が増えたり
小さくなるのではなく逆に巨大になったりと
原始形と退化傾向が似通った傾向を示すという特徴があります。
この傾向は上顎の親知らずとは逆で
上顎の親知らずが常に小さくなる事で退化傾向を示すのに対して
下顎の親知らずは大きくなる原始形を取りつつ退化傾向を示すという不思議な特徴があります。
下顎の親知らずは上顎の親知らずと比べて咬頭の数も多く、
その形態的な変化も様々なものを見せます。
歯の咬頭を分ける溝においても下顎の大臼歯は分類が細かくされ、
咬頭の数の変化と合わせて5種類の形態的な分類がされます。
この点においても、下顎の親知らずでは咬頭と溝において大臼歯が複雑な形態を示し、
その複雑な特徴が上顎と下顎における退化傾向の差異に繋がっているのかもしれません。
親知らずの抜歯でお悩みの際は池下の阿部歯科にご相談ください。