下顎の親知らずを抜歯する時に
しばしば顎が疲れてしまう患者さんがいます。
これは、実際に親知らずの抜歯、
特に歯が横に埋まった埋伏歯の抜歯を受けられた患者さんには経験があるかもしれません。
抜歯する時に顎が疲れるのは
抜歯をする時には
抜歯の器具の利用方法としてクサビを打ちこむように
歯と骨の間にマイナスドライバーのような器具を入れて
抜歯を行う事があります。
このような方法は
梃子(ていし:ヘーベル、エレベーター)と呼ばれる器具によって行われますが、
この際に骨が硬くなっており、
この梃子を入れる歯根膜の空間がない場合には
しっかりと力を入れて梃子を歯と骨の間に入れる必要があります。
このクサビをしっかり打ち込めないとうまく抜歯ができない事が多く
抜歯の際には大切な手技の一つとなります。
この力は下顎の親知らずにかける場合は
しばしば前から斜め下方向に向かって力をかけてクサビを打ち込むため、
ちょうど顎の関節に力がかかってしまうような方向に力を入れる事となります。
そのため、
この際に顎の関節が疲れてしまう
といった患者さんが出てくるのです。
骨が硬くなっている場合は
このクサビを打ち込むために比較的しっかり力を入れる必要がある場合もあるため、
どうしても顎が疲れてしまう患者さんの場合は
術者側で顎を補助するように抑えたうえでクサビを打ち込んでいく事もあります。
上顎の場合はどうか?
上顎の場合もクサビを打ち込むという意味では同じですが、
下顎のように顎の関節には影響がないという点が大きく違います。
上顎の場合は頬を引っ張ったりといった手技は必要になる事があるものの、
顎の関節には力がかかっていかないため、
下顎の親知らずの抜歯の時のような力はかかってはいかない事になります。
抜歯の手技の最中に顎が疲れてしまったら
抜歯の途中で顎がどうしても疲れてしまった場合は休憩を取る場合もあります。
少し休んでからまた抜歯を開始するので、
一旦の休憩という事になりますが、
どうしてもさらにクサビの力をかけなくてはいけないものの
顎が疲れて大変といった場合には
顎の骨を削除して抜歯をしやすいようにするといった別の方法を取る事もあります。
このようなクサビの力を強くかけないといけない場合は
骨が硬い場合の他に
歯の根が先端でこん棒状に膨らんでいて骨の中でひっかかっていたり
歯の根の先端が曲がっているなど
様々な理由があります。
しかしいずれの場合にしても適正なクサビの力のかけ具合はあるため
やたらと顎に力をかけてクサビを打ち込んでいくわけではありません。
顎の関節が弱い方にとっては、どうしても疲れてしまう作業である場合もあるので
クサビの力で抜く以外にも様々な方法を駆使して抜いていく事を考えるのが大切となってきます。
千種区の阿部歯科では患者さんが疑問に思う様々な親知らずに関する情報をお届けしています。