歯は時として通常の形とは違った異常形態をとることがあります。
その中でも歯が
小さくなる異常形態を矮小歯
大きくなる異常形態を巨大歯
といいます。
そしてこれらの矮小歯と巨大歯の形態の異常は親知らずにしばしば見られます。
矮小歯とは
一般的な大きさの値を大きく超えて
明らかに大きさが小さくなった形態の異常を持った歯です。
この矮小歯の状態は口腔内全体の歯全部が小さくなることは少なく、
特定の数歯だけに異常を示して小さくなる事が一般的です。
口腔内どこの歯でもこの矮小歯は起こりえますが、
特に退化傾向を示しやすい親知らずでは上顎の親知らずに
しばしばこの、矮小歯の状態が見られます。
上顎の親知らずにしばしば見られるこの矮小歯の形態異常ですが、
逆に下顎の親知らずにはあまり見られないという不思議な傾向もあります。
巨大歯とは
巨大歯とは矮小歯とは逆に
一般的な大きさの値を大きく超えて
明らかに大きさが大きくなった形態異常です。
この巨大歯の状態は歯の発育過剰ともとらえることができます。
発育過剰による巨大歯ですが、
不思議な事に退化傾向にあるはずの下顎の親知らずに見られる事があります。
何故このような事が起きるかというと
歯の発育過程において歯の退化傾向は
発育が過少になり矮小化する経過と
発育が過剰になり巨大化する経過をたどる場合があるのです。
巨大化した歯は類人猿の大臼歯に似ており、
巨大化した親知らずは先祖返りした結果起きたものではないのかと言われる事もあります。
どうして上顎は矮小歯になり下顎は巨大歯の違いによる問題は?
上顎の親知らずは歯が過剰に小さくなる矮小歯となる事があり
下顎の親知らずは歯が過剰に大きくなる巨大歯になる事がある
という逆の結果が起こる親知らずですが、この結果は他の問題も引き起こしている可能性があります。
歯が横になる水平埋伏は下顎に多いのですが、
もしも下顎の親知らずが巨大化せずに矮小化したら第二大臼歯の後ろの狭いスペースに生えやすくなるかもしれません。
逆に言えば、下顎お親知らずが巨大化した場合は
さらに第二大臼歯の後ろに生えるのが難しくなり、
結果として
下顎の親知らずは生えるスペースもなく横になってしまい、
そして水平埋伏になるという状態になるのかもしれません。
上顎においては、水平埋伏は下顎ほど多くないのも
上顎の親知らずは矮小傾向になる事で
結果として狭いスペースに生えやすいという事になるのかもしれません。
実際に横に寝かかっている親知らずに対して生えるスペースを確保した上で
生える方向に調整してあげると親知らずが奇麗に生えてくる事があります。
つまり、現在の親知らずを取り巻く状況は
親知らずの矮小化や巨大化といった形態異常と合わせて
食生活環境に伴う顎の骨の発達自体や骨格の小ささ
といった現代特有の事情と合わせて様々な事が起きているとも言えます。
千種区の阿部歯科では親知らずに関する様々な情報をお知らせしています。