抜歯をする場合には様々な理由がありますが、
その中でも歯根嚢胞が治癒せず予後不良のため抜歯を選択する場合があります。
歯根嚢胞
歯根嚢胞とは歯の根の中が感染して感染根管となり
それによって根尖部などに嚢胞を形成した状態です。
歯根嚢胞では上皮性の組織が形成され袋のような形で嚢胞を形成します。
形成された嚢胞は多くが感染を伴い
腫れや痛みといった炎症の症状を示す事があります。
歯の根の治療では根管内の感染を取り除き治癒をさせますが
歯根嚢胞の場合は治癒の過程でこの上皮が問題となってきます。
組織内で形成された上皮がバリアーのような役割を果たしてしまい
治癒の妨げとなる他、上皮細胞自体が存在するという点にも問題が出ます。
そのため、歯根嚢胞を形成した感染根管の治療は難治性となるため
治癒が難しくなる要因のひとつとなります。
治療の方針
レントゲンや臨床症状から歯根嚢胞が疑われる場合は
その嚢胞の大きさにもよりますが根管治療を最初に試みる事が多くあります。
顎の形が変わるほど巨大になってしまった歯根嚢胞が認められる事もあり
そういった保存がかなり難しい場合や歯槽骨がほとんど吸収してしまって
根管治療自体が難しいといった場合は別となりますが、
治癒がのぞめる可能性がある場合は保存を行う事を目指す事が多いです。
他にも根管内治療を行った後に嚢胞だけを外科的に摘出したりといった
いくつかの治療を併用して歯を残していくといった手法を取る事もあります。
一概に歯根嚢胞ができたという状態だけで抜歯を行うのではなく、
その歯が保存可能かどうかとうい事を診断してどのような治療をすすめていくのかを決定してきます。
抜歯が選択された場合
嚢胞が非常に大きかったり歯槽骨の問題で保存が不可能となった場合
抜歯が選択される事がありますが、
その際には抜歯と共に嚢胞を摘出してくる必要があります。
抜歯をするとしばしば歯と一緒に嚢胞が付いて取れてきますが
上皮細胞が組織内に残ると再び嚢胞を形成する可能性もあるため
嚢胞が一塊にして取れてこなかった場合は
嚢胞壁を確認して歯槽骨内から摘出する必要があります。
歯根嚢胞の嚢胞壁は比較的しっかりしている事が多いので
歯槽骨から剥がすようにして摘出してくると奇麗な嚢胞の塊として取れてくる事が多くあります。
この手順は歯の大部分を残して根尖切除と嚢胞摘出を行う際にも共通しているので
摘出後は嚢胞壁が奇麗な塊となっているかを確認する事が大切となります。
千種区の歯医者の阿部歯科では口腔外科や親知らずの抜歯だけにとどまらず、歯周病治療や審美歯科など様々な治療を総合的に行っています。